『行政の強制執行とは何か?その種類は?』法律がわからない人でも、わかりやすいように説明します。

 テレビの情報番組で目にするゴミ屋敷や迷惑行為問題。

 こういった問題に対して

「行政は何やってんだよ!放置しないで早く何とかしてよ!」

「行政が撤去するのを見るけど、あれって私達の税金が使われているのかな?」

等の声。

 

 他にも飲食店への営業自粛報道で

「なんで飲食店だけが虐められないといけないの?」

「自粛に応じないお店は公表するって、もう実質的に処分じゃん!」

のような声も多く聞かれます。

 

 これらの部分で大きく関係してくるのが行政の強制権限についてです。

 これを知っていると、納得がいかない行政の判断に異議を申し立てることが可能です。

 知らなければ申し立てられません。

 そこで今回は

『行政の強制執行とは何か?』

を、法律を学んだ経験がない人にでもわかるように、できるだけわかりやすく説明します。

 

 この記事を読むことで

◎、行政がどんな権限を持っているのか知ることができます

◎、行政の権限を知ることで、報道内容を今よりも理解しながら見ることができます

◎、もしも自分自身が何か巻き込まれたら、冷静に行動することができるようになります

◎、行政書士国家資格試験では必須重要項目ですので、受験生の参考にもなります

 

 なお、恐らく”行政”と呼ぶより、”役所”と呼んだ方が馴染みがある人の方が多いと思いますので、以下行政を役所と表現します。

 更に、このような内容の相談は専門家である行政書士にしてください。

 私は行政書士登録をしていない一般人なので、そのような個別相談に応じることはできません。

 グーグルマップで検索すれば案外近くにいますよ!

 

 それでは、役所の持っている強制権限について、一緒に見ていきましょう

 

 

 

実力行使によって義務を果たさせる権限

 役所の強制権限とは

『義務を果たさない国民に対し、実力行使をして義務を果たさせる権限』

です。

 

 義務とは、守らなければならない決まりのことです。

 例えば、

◎、納税

◎、法律を守る

◎、借りたお金を返す

◎、買い物をするときにはお金を支払う

等のように”やるべきこと”だけではなく、

◎、他人を傷つけない

◎、人の物を勝手に貰ってはいけない

◎、差別をしてはいけない

みたいな、”やってはいけないこと”も義務になります。

 

 これらの義務を果たさない人達を放置すると、社会秩序が崩壊してしまいます。

 そこで安全・安心な社会を作るために、役所には実力行使をしてでも義務を果たさせる強制権限というモノが認められているんですね。

 この辺りは”役所”というよりも、”警察”と表現した方がイメージしやすい人が多いかもしれませんね。

(警察も行政組織です)

 

 それはともかく、社会秩序を守るために役所に認められている強制権限5種類

①、行政代執行

②、強制徴収

③、執行罰

④、直接強制

⑤、即時強制

 

 名称を見るだけで

「うわぁ~難しそう~!無理だ~嫌だ~!勉強アレルギーが出そう!」

と感じるかもしれませんが、大丈夫なように説明しますので最後までお付き合いください。

 

 それではこれらについて、更に詳しく一緒に見ていきましょう!

 

 

 

①行政代執行

 役所の強制権限の基礎となるのがこの行政代執行です。

 これは

『役所が代わりに義務を果たす権限』

です。

 役所としては要は、社会秩序が守れれば良いんですよね。

 そして、対象者はその義務を果たさないで放置しているから、社会秩序が乱れそうな状態になっているわけです。

 それなら、役所が代わりに義務を果たすことで社会秩序は守られますよね!

 

 一番有名な例は、ゴミ屋敷の清掃です。

 ゴミ屋敷のゴミが道路にはみ出したり、周囲への悪影響が出始めたら、注意・警告等の手続きを踏んだ上で行政代執行が行われます。

 強制権限なので、家主が拒否しても実力行使として無理矢理行えます。

 もちろん、従うなら無理矢理には見えないと思いますが。

 

 恐らくこれだけ聞くと

「えぇ~!それって義務を果たさないで無視していたゴミ屋敷の住民が得してない?面倒なことをしないで、良い思いしているみたいで嫌だなぁ~!しかもそれってお金が発生すれば税金から出るんでしょ?」

と感じる人が多いですよね。

 しかし、役所もそこまで甘くはありません!

 代わりに行ったことで掛かった費用は全て義務を果たさなかった人に請求されます。

 その際にゴミ屋敷の住民は依頼する業者を自分で選ぶこともできませんし、実行日も選べません。

 そのため、そのような本来なら自由に選べる権利を侵害されているため、強制権限というわけです。

 

 余談で

「だいしっこう」

と聞いて

執行!?なんか凄そう!」

と思っていた人は私だけではないはず!

 字が違うんですよね。

 

 

 

②強制徴収

 次に強制徴収についてです。

 これは読んで字のごとしですが

『強制的にお金を支払わせる権限』

です。

 税金の滞納とか、公的施設の利用料金とか、何かしらお金を支払わなければならないのに支払わない人に対して行われる強制権限です。

 これはそれだけです!

 

 とはいえ

「ちょっと待ってよ!私達が個人的に貸したお金を返してもらえない時なんかは、強制的に回収するには裁判を起こさないといけないのに、ズルくない?」

と感じる人もいるかもしれません。

 しかし、これは強制的に徴収できるというだけで、手続きの部分では私達のときと同じように裁判所を通しますので、ズルではないんですね。

 役所の判断で自由にいつでも差し押さえができるわけではありません。

 

 ちょっとややこしくなるので説明は省略しますが、警察官の交通取り締まりでの青切符はこれとは違います。

 あれは強制徴収ではないので、支払いを無視していても無理矢理徴収はされません。

 裁判になるだけです。

 

 

 

③執行罰

 次は執行罰についてです。

 執行罰は

『罰金をかけて、行動させる権限』

と表現できます。

 要は

「これをやりなさい!さもないと罰金だからね!」

というイメージです。

 

 これの特徴は

『その人にしかできない義務のとき』

に活用されるという部分です。

 だって、他の人でも代わりにできる行為なら代執行がありますからね。

 

 ちなみに実際に、この執行罰が適用される場面は今のところ1つしかなく、私達一般人には関係ありません。

 行政書士試験を受ける受験生だけ知っておけば良い感じです。

>>>『砂防法(36条)』へのリンク

 

 

 

④直接強制

 次は直接強制です。

 これは

『直接実力行使をして、義務を果たした状態にする権限』

です。

 

 その人がやらなければならないことを、無理矢理にでもやらせるモノですね。

 例えば、不法入国の外国人を強制退去させる。

 新型コロナ等の感染症の患者を隔離する。

等をイメージしてもらえれば良いと思います。

 この権限も、限られた場面でしか使われないので

「へぇ~」

くらいで問題ありません。

 

 

 

⑤即時強制

 最後は私達一般人も知っておくべき、重要な即時強制です。

 即時強制とは

『善良な市民に実力行使をして、安全な状態を作る権限』

という感じです。

 

 一個前の直接強制に似ていますが、この即時強制だけは他の全ての強制権限とは全く違います。

 いわゆる例外規定となっています。

 何が違うのか?

 それは

『義務がない人に実力行使をする』

という部分です。

 

 つまり、他の強制権限は義務を守らない悪い人が対象ですが、即時強制だけは

『義務を守っている善良な市民が対象』

なんです。

 このように聞くと

「ちょっと待って!それって酷くない?なんで真面目に生きている私達が無理矢理何かをされなきゃいけないの?」

と感じますよね。

 

 もちろん、その通りで、即時強制は何でもかんでも行えるわけではありません。

 これは具体例を出した方がわかりやすいですね。

 例えば、火事の現場。

 燃えている家は貴方の財産なので、勝手に壊したり、大量の水をかけたりをすることができません。

 しかし、他の強制手続きと同じように何ヶ月もかけて手続きをしていては家が燃え尽き、近所に延焼する恐れもあります。

 そこで即時強制です。

 そのような手続きが不要で、現場判断により貴方の家に大量の水をかけたり、壁を壊したりできるわけです。

 貴方は別に何かをしなければならない義務はありませんが、家を汚されたり、壊されたりしますよね。

 

 このようなときに使われるのが即時強制になります。

 だから、普段から義務を果たしていても、このように無理矢理何かをされることはあるわけですね。

 

 他にも、家で寝ていたら不審者が侵入してきたとしましょう。

 犯人に気づかれないうちに110番通報をしたとします。

 その後、犯人に気づかれ

「助けて!!!」

と叫びます。

 ちょうど貴方の家に到着した警察官が叫び声を聞いて、貴方の家に入ろうとしますが、他人の家に入るためには家主の許可が必要です。

 そこで警察官が

「家主どこだ~?家も締まってるし、入れないなぁ~困ったなぁ~!」

なんてやっていたら助けられる命も助けられなくなってしまいます。

 

 そこで即時強制です。

 そのような場合には、無断で家に入ってオッケーですし、鍵が全部閉められていればドアやガラスを破壊して中に入って良いんですね。

 これだって家主は悪いことをしていないのに、ドアやガラスを破壊されてしまいます。

 このように活用するのが即時強制になります。

 

 このように善良な市民でも、場合によっては強制権限の対象になるんですね。

 もっとも、上記例のようにそれをされて文句を言う人はまずいないような場面だけですけどね。

 即時強制のケースで一番文句が出るのは警察官の職務質問ですね。

 職務質問は即時強制の一つになりますので、強制権限の一つです。

 

 これは警察学校で習わないので、警察官の多くは

「職務質問は任意の行政処分」

と思っていますが、法的な分類では即時強制なんですね。

 私も現職時代は任意行為だと思い込んでいました。

 中身を見ると任意の部分と、強制の部分が混在しているのでゴチャゴチャしていて分かりにくいんですけどね。

 この辺りの説明についてはこちらの記事をお読みください。(昔書いた記事で少し読みにくいかもしれませんが)

>>>「職務質問は任意なの?強制なの?断れるの?」法律ではどうなっているのか分かりやすく説明します。

 

 役所の強制権限は以上5つになりますが、私達一般人が知っておくべきは

『行政代執行』『強制徴収』『即時強制』

の3つです。

 代執行も警告を無視し続けなければ関係ないので、実質的には

「払おう!払おうと思いつつ、ずっと忘れてた!」

となりえる強制徴収と、職質や助けを求めるときの即時強制だけでも良いかもしれませんね。

 

 そしてこれらに対して

「それって違法じゃね?」

とか

「納得いかない!」

というときには、再度その判断をし直すように不服を申し立てたり、裁判で止めさせたり、受けた損害を保障してもらう等ができます。

 その話はまた別の法律の話になってしまうので、今回は省略します。

 自身で行っても良いのですが、一応法手続きになるので色々と決まりもあり、難しいから、専門家である行政書士に相談しましょう!

 

「行政書士より司法書士の方が上位資格っぽいから、私は司法書士に相談する!」

という人がたまにいますが、それはオススメしません。

 司法書士国家資格の試験範囲にこの行政法はありません。

 つまりこの部分は司法書士には専門外です。

 個人的に勉強して詳しい人はいるかもしれませんが、資格の難易度だけで優劣をつけるより、キチンと専門家かどうかで判断しましょう!

 

 

 

まとめ

 役所の強制権限とは、義務を果たさない国民に対し、実力行使をして義務を果たさせる権限のこと。

 

 その5種類

①、行政代執行

 『役所が代わりに義務を果たして、代金諸々を全て請求する権限』

 

②、強制徴収

 『税金の未納等を差押え等で強制的に行う権限』

 

③、執行罰

 『行政書士受験生以外は知っておく必要性なし』

 

④、直接強制

 『感染症患者の強制隔離等、直接義務を果たさせる権限』

 

⑤、即時強制

 『普段から義務を守っている善良な市民に実力行使を行う権限』

 

 これで行政がどんな権限を持っているのか知ることができましたよね。

 行政の権限を知ることで、テレビで出てくる報道内容を今よりも理解しながら見ることができるようになりました。

 もしも自分自身が何か巻き込まれたら、

「ふざけんなよ!」

と騒ぐだけではなく、

「私は何をすれば良いのか?私の行動のどの部分がマズかったのか?」

等を冷静に見て、行動することができるようになりましたよね。

 

 そして行政書士国家資格受験生でこの部分がわからない人は、この全体像を理解した上で更に細かい部分を学べば理解が進みますよね。

 恐らくわからない理由は、これら5種類の違いや特徴、執行に向けての手続きや個別法の有無等を全部一度に知ろうとするから混乱しているだけですからね。

 

 自分の生活に関係するような一般教養として、このような法律にも触れてみましょう!

 キチンと一つずつ嚙み砕いて見ていけば、案外想像する以上に難しいことはありませんので。

 少しでも興味を持った貴方は是非、こちらの知識がなくても解ける(かもしれない)法律問題にチャレンジしてみて下さい!

>>>【貴方もチャレンジ!】面白い法律クイズから法律の未熟な部分を学ぶ! 『キヨミズ准教授の法学入門 著:木村草太』

 

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