『日本での仮想通貨等の規制に関する方向性を話し合う会議の内容』をわかりやすく説明します。
世間が東京オリンピックや新型コロナ感染拡大、ビットコインの爆上げ等で盛り上がっていた7月26日。
その裏で金融庁ではブロックチェーン、仮想通貨等の今後について話し合われる
『第一回デジタル・分散型金融への対応とあり方等に関する研究会』
が行われていました。
※ ここで仮想通貨等とは、仮想通貨だけではなく、ブロックチェーンやそれを取り巻く決済システム等(フィンテック)を総合的に指しています。
「どうせ日本政府・金融庁は仮想通貨等を排除しようとしてるんでしょ?見なくてもわかるよ!」
「日本は仮想通貨等の後進国でオワコン!」
なんて厳しい目で見ている声がある一方で
「今後日本は仮想通貨等をどのように規制していくんだろう?」
「そもそも、日本政府は仮想通貨等をどのように捉えているんだろう?」
等、純粋に疑問を持っている人の声も多く聞かれます。
そこで今回は
『日本で行われた、仮想通貨等の規制の方向性についての会議の内容』
をわかりやすさ重視で説明していきます。
「誰かが噛み砕いた情報じゃなくて、キチンとした情報を自分で見たい!」
という貴方はこちらの資料をどうぞ。
>>>金融庁「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第1回)議事次第へのリンク
この記事を読む事で
◎、金融庁が仮想通貨等をどのように捉えているのかわかります
◎、今後日本では仮想通貨等をどのように規制して行こうとしているのか方向性がイメージできます
◎、仮想通貨等の特徴と課題について整理できます
それでは金融庁で行われた、仮想通貨等の規制に関する会議について一緒に見て行きましょう!
特徴と課題を踏まえた上で、進化速度に遅れない規制と変化が重要
今回の研究会の内容を簡単に言うと
『それぞれの特徴と課題を踏まえた上で、テクノロジーの進化速度に遅れない規制と変化が重要』
という方向性が示されました。
つまり、
「仮想通貨だからとか、新しいワケのわからない技術だからとか、そんな理由だけで排除することをしないようにしましょうよ!」
ということですね。
ちなみに資料の中で紹介されているG7各国の方向性では
「ガッチリと規制と監視の元で運用されるのがベスト!そうじゃないモノは運用自体不適切!」
としていますので、むしろ日本のこの方向性は柔軟と言えるのかもしれませんね。
その上で、会議内では仮想通貨等に関して3つの視点から
①、ブロックチェーンの特徴と課題
②、今の電子決済上の特徴と課題
③、法律面での規制の立ち位置と方向性
という形で話し合われたようです。
それではこれらについて、更に詳しく一緒に見て行きましょう!
①ブロックチェーンの特徴と課題
ブロックチェーン(仮想通貨)に対しての立ち位置は
『ヒイキや排除を前提にするのではなく、社会や参加者の求めを軸に考えるべき』
としています。
その上で、ブロックチェーン(仮想通貨)の特徴と課題が話し合われたようです。
<ブロックチェーン(仮想通貨)の特徴>
まずブロックチェーン(仮想通貨)の特徴は
『新しい技術としてメリットがあるも、逆に新しい技術としてデメリットもある』
という感じで捉えられているようです。
まずメリットとしては
◎、透明性が高い
◎、改ざんが難しく信頼性が高い
◎、新しいモノがバンバン生まれて行く
等が挙げられています。
一方のデメリットとして
×、皆で情報共有するのでプライバシー面がまだ心配
×、鍵の管理やセキュリティ面で不安が多い
×、処理速度がまだまだ遅すぎる
×、エネルギー問題が大きい
×、規制が追い付かず、利用者保護が追い付かない
等が挙げられています。
特に自分でウォレットを持っている人は、鍵の管理はとてもわかると思います。
専用の12個のワードフレーズをシッカリ管理しないと全てを失い得ます。
しかしあれは、下手にスマホやパソコン上に保管していると、抜き取られる危険があるし、紙に書いて残すと書き映すのも打ち込むのも大変だし、物理的な紛失リスクも高いし、かなり面倒ですからね。
セキュリティ面もこの会議では、いわゆる誤送金やGOXによって戻って来ないリスクについて語られています。
では、これらの特徴を踏まえた上で、今後の課題はどんな話し合いがされたのか見て行きましょう!
<ブロックチェーン(仮想通貨)の課題>
ブロックチェーン(仮想通貨)の課題は
『社会や参加者の理解が進むことが重要』
という内容です。
その上で課題は大きく3点
【社会に浸透しないとあまり意味がない】
ブロックチェーンは一つの会社だけとか、一つの部署だけとか一部で取り入れてもメリットが得にくいモノです。
そのため、社会全体とか、複数の組織とかで大々的に取り入れて行かないと有効活用が難しいという特徴が課題として挙げられています。
つまり、社会全体でブロックチェーンへの理解を進め、浸透させて行く事が重要と言う事ですね。
【法整備が追い付かないと参加者を保護できない】
「仮想通貨がドンドン盛り上がって欲しい!」
と考えている人の多くは、規制を嫌がりますよね。
「政府は既得権益を守るために規制するんだろ?それじゃイノベーションが阻害される!」
と無条件に考えガチです。
しかし、そのような意味合いで規制規制と言っているわけではないんですね!
そうではなく、通貨や資産として扱う場合、やり取りは契約なので契約上で何のトラブルも起きなければ規制なんて必要ありません。
しかし、契約である以上は必ずトラブルが発生します。
その時にそのトラブルを解決したり、当事者を保護したりするためには法律や規制が必要なんですね。
守るための規制という意味で規制は必要と考えていると言う事ですね。
進化速度が速すぎて、それが追い付かないというのが課題ということです。
どんなトラブルが起き得るかは是非、行政書士や民法を学習して下さい。
【色々と管理が大変】
ブロックチェーンには改ざんが難しいというメリットがありますが、絶対に不可能なわけではありません。
51%攻撃と呼ばれる方法で破られ得ます。
これが一つ目の課題として挙げられています。
更に、先程のデメリットでも触れた、秘密鍵の管理の大変さも今後の課題として挙げられています。
②今の電子決済上の特徴と課題
次に電子決済上の考え方ですが
『機能は便利だけど、大きな仕組みの面で皆バラバラだよね!』
と考えているようです。
電子決済なんて呼び方をするとイメージし難い人もいるかもしれませんので、
『スマホ支払い、電子マネー支払い』
とイメージして貰えればわかりやすいと思います。
その上で、これがどういう事か見て行きましょう!
<電子決済上の特徴>
電子決済上の特徴としては
『既に便利!』
としています。
具体的には
◎、様々な支払い手段や方法がある
◎、処理速度が速い
◎、分かりやすく・使いやすい
◎、故障や災害時に強い
◎、スマホ内にあるという物理的な安心感がある
等が挙げられています。
この中でピックアップしたいのは
『故障や災害時に強い』
の部分です!
どうやらスマホにマイクロチップを埋め込むことで、スマホが壊れて動かなかろうと、アプリを起動させなかろうと、スマホのバッテリーが切れていようと、インターネットに繋がっていなかろうと決済が出来る仕組みは既にあるようなんですね!
知らぬ間にドンドン進んでいるんですね!
<電子決済上の課題>
次に、既に便利な電子決済システムですが、課題もあるようです。
課題は
『大きな仕組みの面で、まだみんなバラバラ!』
という感じです。
具体的には
◎、セキュリティ面が、利用者のスマホのセキュリティ設定に依存している
◎、アプリとお店の端末が連動していないと使えない
◎、利用者がサービス提供者の考えに従う必要性がある
◎、ずっと高い品質でサービスの保障をし続けることが難しい
等が挙げられています。
セキュリティ面はイメージできますよね。
スマホには自動ログイン機能があるので、それを利用していると便利ですが、スマホを落としたら終わりですよね。
この辺りの設定は私達利用者次第なので、利用者それぞれのスマホごとのセキュリティ設定に依存していると言えます。
他の部分も、お店によって対応している支払い方法がバラバラで不便ですよね。
そして、私達利用者がサービス提供者の考えに従う必要があると言うのは、ペイペイ等の電子決済サービスを利用する際の利用規定。
これに同意しないと利用できません。
この利用規定は、サービス提供者が
「この決まりに同意しないと使わせないよ!」
と言っているのと同じなので、サービス提供者主導な部分が課題だよね!としているわけですね。
この辺りはブロックチェーンの
『非中央集権制の特徴』
が大きく貢献できそうですけどね。
ともかく、
「もっと全体的な仕組みの部分で統一化を図るなり、利用者主導で進めて行くなりの必要があるよね!」
という感じのようです。
③法律面での規制の立ち位置と方向性
多くの人が気になる法律面の規制の話に入ります。
法律面での規制に関しては
『規制側も常時検討、常時見直しの姿勢が必要』
としています。
<法律面の現状>
法律面での立ち位置は先程もブロックチェーンの部分で少し言いましたが
「政府に邪魔な、既得権益を脅かす存在は排除する!」
という意味での規制ではなく
「何かトラブルがあった時に、法律や決まりがないとトラブル解決しないで泥沼化しちゃうよ!それでは利用者が大変だし、逆にイノベーションを止めちゃうよね!」
という意味合いでの規制です。
その上で、現状はデジタル分野の進化速度が速すぎて規制も、規制をする上で重要な分類も、全部追い付いていない。
その結果、仮想通貨等の新しいモノの分類が曖昧になってしまっており、キチンと規制ができずに場当たり的な対応になってしまっていると考えているようです。
例えば現状では、同じブロックチェーンを利用した、同じような仮想通貨やステーブルコイン等でも、
「どのように使うのか?どんな使い方をするのか?」
等の違いで分類が変わってしまい、適用する法律も違うモノになってしまっているようです。
それでは、適切な規制やトラブル解決は出来ませんよね。
そんな現状にある規制を踏まえて、今後の課題を見て行きましょう!
<法律面の今後の課題・立ち位置>
先程の現状を踏まえて、法律面での規制で重要なのは大きく3点挙げられています。
◎、法律上、適切な捉え方をしてキチンと分類をして行くこと
◎、規制という公法の目線だけではなく、利用者に関係してくるトラブル解決を視野に私法も考慮すること
◎、何か新しいモノが出てきてから「どうしよう~?」ではなく、常時検討と見直しをし続けること
仮想通貨とは何か?が曖昧ではキチンとした規制や保護ができませんので、分類は重要ということです。
更に、
『規制する』
ということに囚われ過ぎると公法(行政法等、国民の権利を制限する法律)ばかり見てしまいます。
しかし、規制の本質は
『利用者を保護すること』
なので、利用者の保護やトラブル解決に関連する私法(民法など)もしっかり見た上で規制方針を考えるべきだとしています。
そして、現状の一番の問題点は
『デジタルの進化速度が速すぎて法律が追い付いていない部分』
です。
そのため、
「そもそも追い付くとか、追い抜くとかそういう事ではなく、法律も常時一緒に変化し続けないとダメだよね!」
「その姿勢を持たないでデジタルを適切に規制するなんて出来っこないじゃん!」
と言う事のようです。
多くの人が
「仮想通貨の税金をもっと考えてよ!」
を期待していますが、この考え方を見る限りだと
「キチンと分類が出来てからじゃないと、まだそこは下手に改善はできない!まだ税金どうこうの段階にすら至っていない!」
と言っているようにも感じますね。
今回は3方向からの意見ですが、全体的に新しいモノを止めたり、拒絶するような姿勢は見えませんよね。
そうではなく
「新しいモノを拒絶したいのではなく、デジタルの進化が速すぎて色々と追い付いていない!その結果、拒絶しているような形になってしまっている!」
と認識しているようです。
そのため、今後は規制(利用者保護)の速度を上げていく方向性に進むのではないでしょうか。
デジタルの速度は本当に速く、それと共に変化し続けるという方向性になると、これからの公務員に求められるのは
『変化を適切に捉え、変化し続ける事』
になっていくかもしれません。
今の公務員とは真逆の素養ですが、今回の会議ではそのような方向性が示されたと言えますので、果たして今後どうなっていくのか?
第二回目以降にも注目していきましょう!
まとめ
第一回目の会議で仮想通貨等に対しての立ち位置は、特徴と課題を踏まえた上で、進化速度に遅れない規制と変化が重要と示されました。
その上で3方向からの意見
①、ブロックチェーンの特徴と課題
『ヒイキや排除を前提にするのではなく、社会や参加者の求めを軸に考えるべき』
②、今の電子決済上の特徴と課題
『機能は便利だけど、大きな仕組みの面で皆バラバラ』
③、法律面での規制の立ち位置と方向性
『規制側も常時検討、常時見直しの姿勢が必要』
これで金融庁が現状、仮想通貨等をどのように捉えているのかわかりましたよね。
今後日本では仮想通貨等をどのように規制して行こうとしているのか、その方向性がイメージできたと思います。
それを見て行く過程で、仮想通貨等の特徴と課題についても整理できたのではないでしょうか。
規制する側も結果ありきの決めつけをしないで、変化に付いて行こうとしています。
私達も
「どうせ政府は!」
と最初から決めつけないで、フラットに、変化に追い付くように情報を追い続けた方が良いのかもしれませんね!
今後はデジタル庁も新設され、金融庁とも連携し、デジタル化(フィンテック)も進んで行くと考えられますので、目が離せません!
「デジタル庁って何?」
という人は、こちらの記事も併せてお読みください。
>>>『デジタル庁とはなにか?その目的は?』わかりやすく説明します。
「日本だけじゃなくて、他の国の規制も知りたい!」
という人はこちらの記事をお読みください。
>>>アメリカの仮想通貨の方向性が明確化された!?『米SEC委員長の意向』をわかりやすく説明します。
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