2022年から一気に私達にもAIを使ったツールが広がりを見せ、爆発的にAI作品が作成されています。
特に大きな進化を見せているのがAIイラストやAI小説。
その中でも一番論争を巻き起こしているのがAIイラストです。
そこで既存の手書きの絵師さんと、AIイラストを生成しているAI絵師さんの間に論争が起き始めています。
イラストを描けない私達から見ても
「苦労して絵を書いている絵師さんからすれば、AIが簡単に絵を書いてしまうのは黙ってられないよねぇ」
と感じます。
しかし、この論争の中身は絵師だけの話ではなく、今後のweb3にも大きな影響を与え得る大きな論争です。
そこで今回は
『AI絵師論争とは?この論争から今後生まれてくる期待される動きとは?』
をわかりやすく説明します。
この記事を読むことで
◎、AIイラストに関わる論争の中身を理解できます
◎、既存絵師の今後の立ち回り方がわかります
◎、この論争によってweb3の普及が進むことを理解できます
それではそんなAI絵師論争について、一緒に見ていきましょう!
AI絵師論争とは
『既存の絵師と、AI絵師との議論』
です。
既存絵師には既存絵師の、AI絵師にはAI絵師の主張があります。
その主張がぶつかり合っているのがAI絵師論争になります。
既存絵師さんの
「私達の努力は一体何なんだ!?」
と言いたい気持ちはとてもよく理解できますので、私達の心情としては既存絵師さん達の味方をしたくなりますよね。
でも、この論争って実はそんな単純で軽いモノではないんですね。
その辺りも含めて、どんな論争が起きているのかを見ていきましょう!
「絵師というのは、自分でキチンと絵を書いている人のことを指す。そのため、既存絵師が書いたイラストを登録して、あとは単語を入力するだけの人が絵師を名乗るな!」
という主張ですね。
ごもっともですね。
私も趣味でAIイラストソフトを使いますが、本当に簡単にイラストが生成できるので、私はAI絵師と名乗るのはできないですね。
「確かに気持ちを理解できる」
と一定の理解を示せます。
「AIイラストだって一定のスキルは必要!世間に需要があるイラストを作れるなら絵師でしょう!」
という主張です。
確かに、AIは思った通りのイラストを生成するためには一定のスキルのようなモノが必要です。
AIの理解度は本当に機械的なので、ワード選定をそれに合った通りにしないと思った通りのイラストが生成されません。
これは2000年代にインターネットが世間に普及し始めの頃
「これからの時代はインターネットで欲しい情報をキチンと手に入れられるように、検索ワードの選定スキルが必要になってくる」
と言われていたのに似ていますね。
このように、AIで自動生成されるとはいえ、それなりに使い倒さないと思った通りのイラスト生成はまずできません。
「そのような部分で努力しているんだし、世間的にそれで良いという人もいるんだから、絵師でしょ!」
という感じもわからなくはないですね。
それに
「そもそも私達は自分で絵師を名乗り始めたわけじゃない!私達を分類したがる世間の人達が勝手にそう呼び始めたのが最初じゃん!」
という主張もありますね。
こちら側も、こちら側で一定の理解ができますね。
この論点に対して私の考えは
「肩書は議論したところで意味がないので、お互いご自由にどうぞ。」
です。
これはどういうことかというと、特に資格などが存在しない肩書って誰でも自由に名乗って良くて、誰でも自由に職業にして良いんです。
だから絵師としてプライドを持っている既存の絵師さん達が何を言おうと、AI絵師という言葉を使う人がいる限り、それは世間的には認められます。
これは実際にカウンセリング業界でも20年以上前から存在していた問題でした。
カウンセリングは最近国家資格が誕生しましたが、それまでは、全くの無知な人でも
「私はカウンセラーです」
と名乗ってカウンセラー業を営むことが可能でした。
絵師もそれと同じなので、
「絵師を名乗るな!」
は不毛な訴えになるわけです。
それに更に言ってしまうと、そもそも既存のイラストレーターさんが絵師を名乗っている時点で、AI絵師と同じことをしているんですよね。
というのも、絵師とは本来、手作業でイラストを描く人のことを指す言葉ではありません。
もっと厳格で、歴史的な価値を持つ職業なんですよね。
だから伝統的な、本物の絵師さんからすれば、イラストレーターさんが絵師を名乗っていることも不快に感じ得るわけです。
だから私は、この論争は不毛と感じますので、言い合いたければご自由にどうぞくらいに捉えているわけです。
「せっかく何時間、何日、何か月と苦労して作成したイラストを、AIイラスト生成に無断で勝手に利用するな!」
という主張です。
これは本当にごもっともな意見です。
著作権問題なので、自称が許される「絵師を名乗るな」云々よりも深刻ですからね。
そのようにクリエイターさんの作り出した物を保護するために著作権というモノがありますので、この主張は理解できますよね。
「私達は既存イラストその物を出しているわけではない。それを作り替えたモノを出しているのだから権利侵害はしていない!」
という主張です。
これに関してはかなり黒寄りのグレーです。
明らかに絵師さん達が作成したオリジナルイラストを素材に、似たものを生成すると著作権侵害になり得ます。
AIイラストソフトで
「生成物の権利は生成者にあります。」
のようなところもありますが、ここでいう権利は元絵の権利まで自動的に譲渡されるという意味ではありません。
AIソフト作成者側との間に著作権が発生しないというだけで、元絵の作成者との間はまた別問題ということは理解しておく必要があります。
※生成物の権利をAIソフト提供者が持っている場合もあるので、利用規定はキチンと見ましょう。
「生成物をNFTにして販売したり、商用目的に使用することは禁止します。」
と明記しているところもありますからね。
これに対して私は
『キチンと法律や規約を守りましょう』
です。
Youtubeだっていまだに著作権問題は騒がれていますし、AIイラストも同じですよね。
ちなみに、他者の著作物を基に二次創作を無断で行うのは違法です。
そのため、既存絵師さんのイラストを無断でAIイラストの素材に使用し、それを自分で作成したものとしたり、販売して収益を得たりは違法です。
そのため、この論争によって、現在グレーとされている同人誌にも何かしらのメスが入るかもですね。
一種の市民権を得ているような扱いを受けている同人誌も実は違法です。
ただし、著作者が訴えない限りは法的な問題にならないということで、黙認されているだけでグレーとされているんですね。
そのため、この問題は既存絵師とかAI絵師とか関係なく、全ての関係者に言える問題なんですよね。
当然元絵の絵師さんが
「私の書いたイラストを勝手に使うな!」
と言っていればAI絵師さんは謝罪するなり、損害賠償を支払うなり、何かしらの責任を負うことになり得ます。
これはAIに書かせたとか、自分の手で書いたとか関係なく、創作物の権利という話になります。
「もし今後AIイラストだけで良いなんて風潮になったら既存の絵師の仕事が減る!そうなったら今後絵師を目指す若者もいなくなり、業界が廃れてしまう!」
という主張です。
これも理解できる主張ですね。
今まで苦労して、何年も努力して習得してきたスキルを、ポッと出のAIに壊されるなんて受け入れられることじゃないですからね。
「世間に受け入れられるなら過程は関係ないでしょ?自分の努力がどうこうではなく、イラストを見る人の感情が重要。」
という主張です。
これもごもっともです。
マーケティングとかを勉強している人からすれば、こちら寄りの考え方をする人が多いと思います。
「商品の裏にある努力とか、人間性とかは関係ない。その商品に価値があるかどうかが重要」
というゴリゴリに資本主義的な考え方ですからね。
実際に私達も普段、お店で購入するコーヒーに対して
「こっちのコーヒーの方が作るの大変なんだよね。だからこっちのコーヒーを買おうっと」
みたいにはなりませんよね?
自分の好みに合ったコーヒーを買いますよね。
それと同じことを言っているので、やはり理解はできます。
この論争に対して私は
「既存絵師の人達もAIイラストを上手く活用してみれば?」
です。
現状ではこの議論って
「苦労して作った物をもっと高く評価して」
という主張です。
でも顧客側としたら、自分が求める物であれば、誰が書いたとか、その裏にある苦労とかはあまり重要ではありません。
顧客側がそのような価値観なら、商品提供者側もそれに合わせた価値観を持った方が職業として見た場合には成り立ちやすくなりますよね。
”顧客の需要に答える”という点においてはどちらでも満足させることができるわけですから。
それを受け入れられないとなれば、それは
「後世のイラストレーターを目指す若者達のために」
と、若者を利用して自分達の今のポジションを奪わせないように同情を買おうとしているだけですよね。
イラストで食っていける選択肢・手段があるのなら、例えそれが今の自分のキャリアを壊すような新技術でも、それを受け入れて収益を得られる形を構築し、後世に引き継いでいく方が後身のためになりますからね。
その上で、背景をAIに書かせるとか、キャラ設定をAIにやらせるとか、アイデアの素案をAIに作らせてから自分で清書していくとか、活用方法は幾らでもありますよね。
別に、全てを自分で書かなきゃいけないわけでも、全てをAIに書かせなきゃいけないわけでもないんですから。
「AIを上手く活用する、そのために全否定ではなくて一度自分で実際に使ってみる」
という姿勢が良いと考えます。
とはいえ、
「今までイラスト技術を磨くことしかしてこなかった。今後私はどうしたら良いんでしょうね?」
と不安な絵師さんも沢山いると思います。
そこで、現時点(2023年1月)私が考える、既存絵師さんの立ち回り方について紹介します。
まず一つ目は
『NFTに参入する』
です。
恐らくAIイラストがここまで表に出てくる前までは、既存絵師さんはNFTに対しても否定的な目を向けていましたよね?
しかし、今回の論争で既存絵師さん達の主張を見て私は
「なんだ、NFTと相性抜群じゃん!」
と感じました。
今回のAI絵師論争で既存絵師さん達の主張していることとして
「私達の苦労はどうなるんだ!?私達の鍛えてきたスキルは?無駄になるってこと?」
という、労力に対する見返りを欲する感情面が強いことを知れました。
その商品の裏に存在している苦労や努力というモノも評価して欲しいんですよね?
実は、それこそがNFTです。
NFTをあまり知らない人からすると
「は?NFT?ただ単に所有権が証明されるだけで売るとか、私達が苦労して書いたイラストを程度の低い大衆商品として売るなんて、汚らしい」
みたいな印象を持っていたと思います。
しかし、それは違います。
NFTを買う人達はそのイラスト自体にお金を支払っているのではありません。
そのNFTの裏にある絵師さんの努力や過程、そこに存在しているストーリー・物語、はたまたそれを保有することで保有者同士の繋がりが生まれること等々にお金を払っているんです。
そのため、一回やってみればわかりますが、貴方がいきなり上手なイラストをNFTとして販売しても売れませんから。
だってただ単にイラストをNFTにしただけでは、そこには何の物語もありませんので。
鑑賞目的のイラストならコピペすれば鑑賞できますので、別に買う必要はありませんからね。
それでもお金を払って手に入れたいと思えるのは、イラスト自体ではなく貴方の努力やそこに隠されたストーリーが魅力的だから彼らはNFTを買うんです。
これって、既存絵師さんが今AI絵師論争で主張していることを実現するモノですよね。
「私達の努力を見てくれ!私達の磨き上げてきたスキルを見てくれ!AIが数秒で作ったイラストに負けるなんて悔しすぎてあり得ない!」
これを救うのがNFTなんですよね。
だってイラストそのものよりも、絵師の努力や磨き上げたスキルや作品に込めた想いにこそ価値が生まれる物がNFTなんですから。
NFTを買う人は、貴方の努力やその背景にあるストーリーを知りたいんです。
そのため、NFTに参入する際は貴方の影ながらの努力やイラスト作成過程などを隠さず、SNS等でオープンにして参入すると良いと思います。
>>>web3の勉強「NFTとは何か?」初めて学ぶ超初心者にもわかりやすく簡単に説明します。
もう一つの立ち回り方は
『AI絵師向けにイラスト提供をしていく』
です。
AI絵師が無断で貴方のイラストを使うなら、著作権侵害として警告を出し続けましょう。
その上で、
「もし私達のイラストを使いたいなら、利用料を払ってください。」
とすれば良いんですよね。
AI絵師の多くは著作権侵害をしたくてしているわけではありません。
それがダメだってことを知らないで好奇心が赴くままやっている人も沢山います。
違法と知っていながらやっている悪質な人もいますが、権利侵害で警告を出し続ければいなくなります。
そのようなところで、無断利用はダメということが知れ渡れば、AI絵師を続けたい人達は少しくらいお金を払ってでも貴方のイラストを使わせて欲しいと考えます。
そのような需要を狙って収益につなげるという方法ですね。
これはイラスト屋や、写真の素材サービスPIXTAのようなモノですよね。
この立ち回り方をするなら、NFTも利用できます。
NFTは何もしなければ基本的には所有権だけ販売し、二次創作権や商用権は付与されません。
しかし、中には
「NFT保有者に二次創作権や商用権を認めるので、是非買ってください!」
としているモノも有ります。
そうすることによって他のNFTと差別化を図っているわけですね。
イケハヤさんの手掛けるクリプト忍者、XANAメタバースのGenesisNFTなどが商用権や二次創作権を付与して成功しているプロジェクトですので、一度見てみて下さい。
今回は以上になります。
今まで否定していたNFTという存在も、他の敵が出てくれば実は強い味方だと知れましたよね。
恐らくAIイラストも実際に一度受け入れて自分で使ってみたら、自分の味方になる部分は必ずあります。
全面的に対立をするのではなく、お互い一度受け入れてみて、取り入れられる部分を取り入れるという活用をしていくと、上手く折り合いがついていくものですよね。
私は基本的には変化を受け入れるべきと考える人間なので、この論争から面白い変化が生まれることを期待します。
新しいモノが古いモノを淘汰するのではなく、古いのモノが新しいモノを進化の材料に活用してくれたらワクワクしますよね。
私の感覚としては、ワクワクする選択肢が幾つもある既存の絵師さん達が羨ましいです。(私は絵が描けないので、そのスタートラインにすら立てていないので)
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